おまとめローンは、各種ローン、クレジットカードのリボ払い、カードキャッシングなど、複数の種類が違う既存の借り入れを、1つにまとめて借り換えることを目的としたローンです。主に銀行や信用金庫、労働金庫、消費者金融が提供しています。
おまとめローンの特色を理解して、安定した家計を目指しましょう。
おまとめローンとは
例えば、A社から90万円、B社から50万円、C社から60万円の借り入れがあったとします。これらをD社のおまとめローンで、3社の残高合計と同額の200万円を借り入れ、A社、B社、C社の借り入れ全額を、一括で繰上げ返済します。その後は、新たに借りたD社のローンのみになります。
キャッシュレス決済の思わぬ落とし穴
日常の買い物で、電子マネーやクレジットカード、スマホ決済などの「キャッシュレス決済」を利用する方が増えています。小銭のやり取りをすることもとなく、あっという間に会計が終わってしまう上に、ポイントキャンペーンなども行っており、キャッシュレス決済はすっかり定着した感があります。一方で、キャッシュレス決済は、後日クレジットカード会社への支払いが発生します。複数のキャッシュレス決済を利用すると、クレジットカード会社の支払管理も複数になり、いつどれだけ引き落とされるのか把握できなくなってしまいます。支払いにリボ払いを選択していると、月々の支払いは少ないものの、利息分の支払い割合が増えて元金の返済が進まず、支払い期間がかなり長期に及ぶことにもなってしまいます。
このような状況になった場合は、借入を一本化することも検討してはいかがでしょうか。
おまとめローンの3つのメリット
おまとめローンをすることによって、次の3つのメリットがあります。
①返済管理が楽になる
②トータルの金利が下がる可能性がある
③返済計画が立てやすい
①返済管理が楽になる
おまとめローンの最大のメリットは、借り入れ先を一本化することで返済管理の負担を軽減できることです。例えば、3社への返済が続く場合、A銀行は毎月15日に口座振込、B銀行は毎月末日に口座引落、C社は毎月5日にATMで返済というよう状況が考えられ、勘違いや支払い忘れのリスクが高くなってしまい、延滞の原因にもなってしまいかねません。おまとめローンに一本化し、返済日および返済先が1つに集約されることで管理しやすくなり、気持ちも楽になります。
②トータルの金利が下がる可能性がある
おまとめローンは、個々のローンをまとめることで借入金額が大きくなります。なので、一般的に金利が低く設定される可能性があります。結果的に、おまとめローンに借り換えることで、金利が低く抑えられ毎月の返済額や返済総額を軽減できる可能性があります。一般的にローンの金利は利息制限法により借入金額の大きさで上限金利が定められています。1本にまとめて借入金額を大きくすることで金利が低くなる傾向があります。
- 元本の金額が10万円未満 →上限金利年20%
- 元本の金額が10万円以上~100万円未満 →上限金利年18%
- 元本の金額が100万円以上 →上限金利年15%
③返済計画が立てやすい
おまとめローンは、証書貸付型ローンで契約することが一般的です。証書貸付型ローンは返済計画が立てやすいというメリットがあります。証書貸付型のローンとは、契約時の借入金額や借入期間、金利などの借入れ条件が借用証書で決められます。カードローンのように追加で借り入れを増やすことができません。なので、つい借り入額が増得てしまうということが防げるため安心です。契約時点での返済計画も立てやすくなります。
おまとめローンの審査は?
いざ、おまとめローンの利用を検討する場合、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。ここでは重要な3つのポイントについて解説していきます。
①安定した収入
②他社での借入状況
③個人信用情報機関の登録内容
①安定した収入
他のローン審査と同様に、おまとめローンの審査項目は、勤務先・雇用形態・勤続年数・年収などの就業状況が審査の中心になります。パート・アルバイトの方でも申込みが可能な商品もあるので申し込みの際に確認してみましょう。勤続年数は、勿論、長いほど有利となります。
②他社での借入状況
借り換え対象となる現在の借入件数と借入残高の確認があります。貸金業法の対象となる金融機関では、現在の借入れの総額が年収の3分の1を超える場合には審査が不利になると考えられます。
③個人信用情報機関の登録内容
金融機関は、信用情報機関に登録された返済状況などの登録内容を確認します。延滞履歴や金融事故の情報が登録されていると、審査に通る可能性は低くなります。
審査基準の詳細はどの金融機関も公表しませんが、一般的に融資金額が高くなるほど審査のハードルは高くなります。おまとめローンは、借入金額が大きくなるため、キャッシングなどの審査に比べて厳しくなる傾向があります。
おまとめローンの注意点
おまとめローンを検討するにあたって、注意するべき点があるので、確認してみましょう。
・まとめられない種類のローンがある
・かえって、返済総額が増えてしまう場合がある
まとめられない種類のローンがある
おまとめローンの借り換え対象となる既存の借り入れは、カードローンやクレジットカードのキャッシングおよびリボ払いなどがあります。一方で、おまとめローンによっては、借り換え対象とならない種類のローンがあります。例えば、個人向けおまとめローンには、事業用使途のカードローンをまとめることができないので、事業を営んでいる方は注意が必要です。
かえって、返済総額が増えてしまう場合がある
おまとめローンに一本化すると、現在利用しているカードローンより低い金利になり、利息の負担を減らすことができる場合があります。但し、毎月の返済額を低く抑える目的で返済期間を長くし過ぎると、返済の総額が逆に増えてしまうこともあります。おまとめローンの契約前に、毎月の返済額と返済期間のバランスを確認しましょう。
おまとめローンは、どのくらい得なのか?
おまとめローンを利用して現在複数ある借り入れを一本化した場合、返済額はどのくらい違うのかを確認してみましょう。
【例】
◎おまとめ前
A社:90万円を金利14%で5年間借り入れ、1年経過
B社:120万円を金利18%で5年間借り入れ、2年経過
C社:60万円を金利17%で5年間借り入れ、3年経過
借入金額 | 金利(%) | 毎月返済額 | 予定返済総額 | 返済済み金額 | おまとめ前残高 | |
A社 | 90万円 | 14% | 20,941 | 1,256,460 | 251,292 | 766,342 |
B社 | 120万円 | 18% | 30,472 | 1,828,320 | 731,328 | 842,869 |
C社 | 60万円 | 17% | 14,911 | 894,660 | 536,796 | 301,596 |
合計 | 270万円 | 66,324 | 3,979,440 | 1,519,416 | 1,910,807 |
◎おまとめ後
D社:191万円を金利14%で3年間借り入れ
借入金額 | 金利(%) | 毎月返済額 | 予定返済総額 |
191万円 | 14% | 65,279 | 2,350,036 |
結果として、毎月返済額は、 66,324 - 65,279円 = 1,045円 減少
返済総額は、
A – D =A – (B + C)= 3,979,440 – (1,519,416 +2,350,036)= 109,988 減少
今回、おまとめローンへ借り換えたことで毎月の返済額は 66,324円から65,279円に軽減され、返済総額は109,988円の軽減となります。但し、ここでは、繰上げ返済にかかる手数料などは考慮していないので、既存の借り入れ内容を確認の上、実際にシュミレーションしてください。
専用商品を使用した「おまとめ」とは?
消費者金融が提供する「おまとめローン」専門商品は、「貸金業法」の規定に基づいて提供されています。その規定に従うと、借入額は年収の3分の1を超えない範囲までとなります。しかし、このルールには例外規定があり、これを「例外貸付」と呼びます。複数の貸金業者からの借入を1社にまとめることは、例外貸付にあたり、たとえローンをまとめた借入残高が年収の3分の1を超えていても、おまとめが可能となっています。
総量規制の対象にならない「除外貸付キャッシング」
1.不動産の建設、購入資金。またはそのつなぎ資金。
2.自動車ローン
3.家族の高額療養費
4.有価証券担保貸付
5.自宅以外を担保とした不動産担保貸付
6.不動産売却により返済可能な借入
7.手形割引
例外貸付のキャッシング
1.お客様が一方的に有利になる借り換え契約
2.借入残高を段階的に減らすための借り換え契約
3.家族が緊急に必要な医療費
4.家族が特定、緊急な費用を支払うために必要な資金(たとえば香典など)
5.専業主婦へのキャッシング|配偶者と合わせた年収の3分の1以下の貸付(配偶者の同意が必要)
6.個人事業主に対する貸付
7.新規事業に対する貸付
8.金融機関から借入を受けるまでのつなぎ融資
例外貸付に該当するための条件
例外貸し付けが適用されるためには、以下の条件が必要になります。
①借り換え後の金利が、借り換え前の金利を上回らないこと
②約定に基づく返済によって、段階的に残高が減っていくこと
③1ヵ月の負担額が、借り換え前の負担額を上回らないこと
④借り換え後の条件が、借り換え前の条件より厳しくならないこと
このような条件を満たしていれば、現在のローン総額が、年収の3分の1を超えている場合であっても、おまとめローンに借り換えができる可能性もあるので、金融機関にご相談ください。
おまとめローンを利用した方がよい場合
おまとめローンは、複数あるローンを一つにまとめることで、毎月の負担軽減を目指すことを目的としています。条件によってはメリットがあるので、複数社からの借り入れがあり、返済日に大変な思いをしている方は、一度、検討してみるべきプランと言えるでしょう。